世界初「完全なる」キャッシュレス社会へ、スウェーデン中央銀行が強気なワケ

世界各国でキャッシュレス社会実現に向けての取り組みが盛んになる中、北欧におけるその動きはズバ抜けて本格的だ。

スウェーデン中央銀行Riksbank(リクス銀行) が、2021年までに完全にキャッシュレスに移行すると発表した。

また、同中央銀行が発行するe-Krona(イー・クロナ)には、「匿名性」の機能も搭載されるという。

スウェーデン、キャッシュレス社会実現までカウンダウン開始!

EUにおけるキャッシュレス化の取り組みが捗々しくない中、ここ8年間で現金決済の割合を約40%から13%にまで縮小させることに成功している、スウェーデン。

出展:Payment statistics

そんな同国の中央銀行であるリクス銀行は、デジタル通貨「イー・クロナ」のテスト開始を来年行う方針を明らかにしている。

同デジタル通貨は、依然として国家主体で管理、所有、規制される「法定通貨」。

しかし、仮想通貨といくつかの類似点も存在し、暫定的には「匿名決済」が可能だという。


出展:The Riksbank’s e-krona project

2021年までに本格的に導入されることが予定されており、普及初期段階では現金に付随する形で取り扱いが始まるが、最終的にはスウェーデン国内の一般的な主要通貨になるという。

しかし、全ての取引におけるキャッシュレス化が奨励される風潮がある一方、高齢者を始めとする新技術に適応するのに苦労している人々のグループが存在するという実態も報告されてる。

それにも関わらず、スウェーデン中央銀行がデジタル通貨発行へ踏み切る理由としては、早い段階の開発努力がなければ、将来的に民間企業が決済分野において多大な責任を持ち、それが問題につながる可能性があるからだという。

また、キャッシュレス化に対応できるかが不安視される「マイノリティ」に対して、同銀行は以下のように言及している。

現時点では、デジタル決済を使用するのが困難だと感じているグループが存在する。そのようなグループには、高齢者、障害者、または異なる理由により現金以外の決済手段にアクセスできない人が含まれる。しかし、 自由市場はこれらのグループに完全に合わせることができないため、国はこれらの人々に対してより大きな責任を負うことを選択する。

世界初の試みに取り組むスウェーデンだが、果たして完全なキャッシュレス化は、全ての人が満足できるような結果を生み出せるのだろうか。

原典:Sweden’s Central Bank Hastens Plans for National Digital Currency

ここまでの内容と考察

スウェーデン中央銀行がキャッシュレス社会実現を目指して来年から本格始動するという、今回のニュース。

同中央銀行が検討しているデジタル通貨が「匿名性」の機能を備えていることはとても興味深いですね。

Monero(モネロ)やDash(ダッシュ)を始めとする匿名通貨(またはプライバシーコイン)は、マネーロンダリングに使用されるという懸念点から、日本の取引所では完全に上場廃止となっていますが、今回のような報道は通貨における「匿名機能」について改めて考えさせられますね。

しかし、キャッシュレスに関しては、ツイッター上でも様々な声が挙げられています。

完全にキャッシュレスにするということに関しては、抵抗がある人も少なからずいるようですね。

これはとても難しいところであり、スウェーデン中央銀行のように思い切った方針を打ち出せる政府も多くありません。

しかし、仮想通貨の登場や従来の金融機関による分散型台帳技術の取り組みを見ると、キャッシュレス社会が来る日はそこまで遠いとはなかなか言い難い。

誰でも簡単に使用可能なテクノロジーの開発が鍵となるかもしれませんね。

最近では、声認証や顔認証で決済ができるような技術や、ICカードを搭載した仮想通貨ウォレットが開発されるなど、仮想通貨における日常的な決済の利便性もさらに改善されていくように感じられます。

今後も課題は多いかもしれませんが、仮想通貨の普及やキャッシュレスの拡大に注目していきたいですね!